逆求人型(オファー型)就職活動

逆求人型(オファー型)就職活動

逆求人型(オファー型)就職活動とは?

まず「逆求人型」とはどのような就職活動なのか、どのような流れで活用するのかなど、その特徴を紹介します。

企業に対して、自分をアピールできる注目の就職活動

逆求人型(オファー型)とは、学生がプロフィールや自己PR、希望職種などを就職活動サイトに登録し、それを見た企業側から「ぜひ自社に就職してほしい」、「話をしてみたい」などのオファーが来る仕組みの就職活動です。従来の通り、学生自身が企業の新卒採用にエントリーする流れが主流である一方で、逆求人型には、学生は自分では知りえなかった企業と出会えたり、企業は理想とする学生へダイレクトにアプローチできるなどのメリットがあります。そのため、近年特に注目が集まっており、さまざまなwebサイトがサービスを提供しています。

逆求人型(オファー型)サイトの流れ

  • 逆求人型(オファー型)の就職活動サイトに会員登録

    はじめに、大学名、出身高校、住所、希望業界、希望職種などの基本情報を入力し会員登録。登録完了後、写真や自己PR、適職診断など、自分をより詳しく知ってもらうための項目に入力していきます。

  • 企業からオファーが届く

    登録した内容を見て、興味を持った企業からオファー(スカウト)のメッセージが届きます。

  • 企業からのオファーを承認する

    企業とメッセージのやりとりをしたい場合はオファーを承認します。興味のない企業の場合はオファーを辞退することもできます。

  • 企業からメッセージが届く

    オファーを承認した企業とメッセージのやりとりができるようになります。個人面談やインターンシップへの招待といった具体的な内容に対して、気になることを質問したり、日程を調整するなど、企業とのやりとりを進めます。

  • 企業の選考に進む

    企業への志望度が高まれば、選考のステップに進みます。選考は説明会、適性検査、筆記試験、面接など、企業によってさまざまです。逆求人型ならではの選考免除や、特別な選考がある企業もあります。企業が希望している人物像と合致すれば、内定がもらえます。

逆求人型の特長とは?

■ 企業研究や業界研究などの準備ができていない段階からスタートできる

 学生自身がエントリーするスタイルの就職活動サイトでは、業種や職種、勤務地等の情報を調べ、自分の興味のある企業を絞り込み、会社説明会や、書類審査に応募するという流れが一般的です。そのために、何から始めるべきなのか、どのような企業に応募するべきか、活動前に何を準備するべきか迷う人も少なくありません。逆求人型では、就職活動スタート後に得られる知識や体験を活かして、一度登録した自己PRをより充実した内容へと少しずつ磨きをかけることができます。自分なりの表現方法や自己分析を深めれば、より多くの企業からオファーをもらえるチャンスに繋がるでしょう。

■ 知らなかった企業や仕事を知るきっかけになり、活動の幅が広がる

 逆求人型サイトでは、あなたに興味を持った企業がオファーを送ってくれます。
 今まで知らなかった企業や、自分では気づかなかった業種からのオファーも受けることができるため、自分に向いた業種や職業が何なのか、明確なビジョンが描けていなくても、企業を知るきっかけになります。また、「自分はこのような仕事が得意だ」「こんな企業が自分を求めているのでは?」という考えの幅が広がり、思いがけない魅力的な企業を知ることになるかもしれません。企業との意外な出会いが自分の将来を大きく変える可能性もあります。

■ 自分自身の見せ方を考える機会になります

 逆求人型の就職活動サイトには、どのような企業が自分のプロフィールを見てくれているか、閲覧履歴を確認できる機能が付いていることもあります。自分に興味を持ってくれた企業を分析することで、自分を必要としてくれる業界などに気付いたり、新たな自身の強みを見つけることもできるでしょう。また、オファーの内容も重要なヒントになります。自分の自己PRのどこが企業の目に留まったのか、もっと詳細に書けるエピソードや追加した方が良い情報はないかを検討し更新を繰り返すことで、より自分に合った企業に近づけるはずです。

■ 企業との直接のやりとりでコミュニケーション力の向上につながる

 多くの学生が一斉に参加する説明会や選考と違い、逆求人型の就職活動では企業とのやりとりがすぐに始まります。気になることの質問やスケジュール調整を企業の担当者と意思疎通を図る中で、社会に出る上でのコミュニケーション力を高めることができます。ビジネスに適した言葉遣いで、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。担当者がプロフィールに興味を持っている状態でコミュニケーションを開始できることも大きなメリットで、落ち着いてやりとりができ、自発性と自己アピール力を高めることに繋がります。

オファーをもらうポイント

適性診断機能等の自己分析ツールは、企業側とのマッチングにも反映されます

 多くの逆求人型サイトでは、自分が理想とする企業からのオファーを引き出すために、自分の強みや弱みといった性格や考え方の傾向などを客観的に評価してくれる適正診断機能等の自己分析ツールが付いています。
 このツールでは、自分の性格から、どのような仕事に向いているかを探るきっかけに活用できるほか、企業がこの診断結果の内容で学生を検索できるように作られています。
 また、逆求人型サイトの自己分析ツールは一度しか診断できないものもあり、結果は変更できないため、使う際には、分析結果が企業側でも見られるという点に注意して使用すると良いでしょう。

写真について
 企業が求める学生を検索する際に、まず表示される項目のひとつがプロフィール写真です。逆求人型の就職活動サイトでは、この第一印象となるメインプロフィール写真1点のほか、自己PRとして、学生時代の活動がわかるような写真が別途掲載できる場合が一般的です。写真を選ぶ時には、以下のポイントに気を付けて、企業の担当者の印象に残る工夫をしてみましょう。
メインプロフィール写真
 企業の担当者が自社に合った学生を検索した際の一覧画面にも表示されます。第一印象を左右する項目であり、プロフィールを開いてもらうための大切な要素のひとつです。マスクはせずに、1人で写っており顔が大きくはっきり見えること、表情が明るく、清潔感のある髪形や服装であることを重視しましょう。必ずしも証明写真である必要はなく、自分を象徴する活動をしているような写真(サークル活動や趣味、スポーツ等)でも構いません。
その他、学生時代の活動がわかる写真
 メインプロフィール写真とは別に、自己PR用の写真や、追加のプロフィール写真を複数掲載できるサイトもあります。自分の強みや打ち込んできた活動を、文章に加えて写真でより強く印象付けるチャンスです。自己PRで記載したエピソードや活動内容と連動させ、場面が想像しやすくなる写真を選びましょう。また、真剣さや楽しさなど人柄や雰囲気が伝わる表情であれば、より良い印象を与えることができるかもしれません。そのほか、自分が写っていなくても取り組みの魅力が伝わる写真(サークルで訪れた山岳の風景、研究で集めた大量の蒐集物など)も、自己PRを裏付け、担当者の記憶に残ることでしょう。
自己PR
 逆求人型サイトの就職活動では、理想とする学生を見つけるため企業はさまざまな条件で検索をかけています。企業の担当者が自社にマッチした学生にオファーを出す判断基準として、もっとも注目するポイントが自己PRの文章と言えます。自己PRでは自分の強みや、その強みを活かしたエピソードなどを中心にまとめることになりますが、話せば伝えられるのに、文章にまとめるとなると難しく感じる人も多いのではないでしょうか。逆求人型の就職活動の大きなメリットのひとつに、一度書き上げた自己PRだけで企業が判断するのではなく、就職活動の中で得た知識や経験を基にどんどん自己PRに磨きをかけ、企業の目に止まりやすくなるチャンスを広げられることがあります。まずは下記項目を参考に土台となる構成を入力し、徐々に別のエピソードへの入れ替えや、掘り下げるべき項目、よりわかりやすく興味をひきやすい表現への見直しを行うのも良いでしょう。
自己PRの項目(一例)
  • 自信をもって、学生時代に打ち込んだものは何か。
  • なぜ、そのことに打ち込んだのか。
  • 「自分はどのような人間なのか」をきちんと伝える。
自己PRを書く順序(一例)
  • タイトル:「私はこういう人です」が伝わるタイトルに。
  • 前置き :エピソードの概略を前置きとする。
  • 課題+決意:ストーリー(乗り越えたことなど)

<例文>
私が力を入れたのは、学部時代の卒業論文作成です。卒業論文に取り組むにあたって全体の計画を立てたところ、実験やサンプル採取などの作業量が膨大になることがわかりました。毎日朝から夜遅くまで取り組む中で、実験で失敗が続いた時には心が折れそうになったこともありましたが、途中で投げ出したくないという思いから、「積極性」を基本とした方針で自らを律することとしました。

 具体的には①悩む前に行動する。②作業効率を高めて実験を充実。③一人で抱え込まず、周囲に意見を求める。の3点に努めました。積極性を意識することで、次第にどんな状況でも楽しみながら研究に取り組めるようになりました。積極的に研究を続けた結果、優秀論文にも選ばれました。

 私はこの経験から、困難に直面した時でもあきらめないことや、積極的な行動による打開力を身につけることができました。

オファーを増やすには

項目は全て埋め、記入率を高めることが重要

 逆求人型の就職活動サイトでは、全登録者の中でいかに自分に興味を持ってもらえるかがオファー獲得のポイントとなります。企業側の画面表示では、プロフィールや自己PRの入力率が高いほど上位に表示される仕組みになっていることが多く、企業に自分を見つけてもらうために、空白の項目がないように記入率を上げましょう。文字数もできるだけ上限まで埋めましょう。

自己PRは常に見直しながら質を高めていく

 逆求人型サイトでは、プロフィール等の基本情報と、写真や自己PRでの第一印象がオファーにつながるため、オファーがなかなか思うように届かない、という場合は、更新可能な情報をこまめに見直してみることをお勧めします。特に企業が一番注目するのは自己PRです。会社説明会や面談、インターンシップなど他の就職活動を並行して進める中での気づきを常に反映しながら質を高めていくことで、オファー獲得に繋がっていくでしょう。

適性診断機能等の自己分析ツールの結果を参考に、さらに魅力ある自己PRを作ろう

 自己分析ツールを使った診断結果は、長所や短所、自分に何が向いているのかなど、自分を見つめ直す意味で大変参考になります。就職活動が進むにつれて、完成させたつもりの自己PR文章でも改善点や、新たに追加したい自身の魅力を見つけられるかもしれません。また、自己PRを作成時にそもそも自分の強みがまだわからなかった場合も、改めて診断を見直すなど、参考にしてみると良いでしょう。

他己分析で自分の価値をさらに理解しよう

 自己分析ツールによって自分の強み弱みを知ることとは別に、他人に自分を客観的に分析してもらう他己分析ツールを併用することで、自分を多角的により深く知ることもできます。
 逆求人型サイトのみならず就職活動サイト等では、スマートフォンのSNSアプリを使って幅広い人に他己分析してもらえる仕組みもあります。自分のことをよく理解してくれている友人や家族、アルバイト先の同僚や上司、既に社会に出て働いている親戚など、関係性が違う知人に診断してもらうことも可能です。他人からの評価を知ることは不安な面もあるかもしれませんが、自分の価値を知る上で有意義であり、自己PRの見直しはもちろん、さまざまな就職活動にも活かしていけるでしょう。

オファー(スカウト)が来た後は?

オファーが来たら承認するか辞退するかを返事しましょう

 オファーが来たら、まずは、インターンシップや就活イベント、面談へのお誘いなど、どのような内容なのか、自分のどこを評価してくれたのか、そしてオファーをくれた企業情報を確認しましょう。志望業界以外でも、自分に合う可能性がある企業からオファーがくるのが逆求人型のメリットです。少しでも興味を持ったら積極的にコンタクトを取りましょう。迷う場合は、一旦オファーを承認しメッセージをやりとりした上で辞退することも可能です。しっかりと検討し、失礼のないように返信しましょう。

オファーの返事はできるだけ早めに

 逆求人型サイトでは一般的にオファーの返信期限が設けられています。期限内に返信しないと、オファーは自動的に取り消されてしまうことがほとんどです。また、受信できるオファー数に上限があり、返信を遅らせることで他社からのオファーをもらう機会が減ってしまう場合もありますし、企業によっては採用のスケジュールなどの都合により、その期限より早くオファーを取り消してしまう場合もあります。いずれにしても早めの判断と返信が望ましいです。

できるだけ丁寧な文章を心がけましょう

 オファーを承認した企業へはまずオファーを頂いたお礼の気持ちを伝えましょう。その後のメッセージ上のやりとりは、自己PRの文章以上に1対1で企業担当者に自分をアピールできる重要な要素であり、選考材料のひとつと捉えられる場合もあります。伝えたい内容が端的に表現できているか、担当者が不快に思う表現になっていないか、誤字脱字がないかなど、送信前によく確認し、丁寧な対応を心がけましょう。

お断りする場合も誠意を持って対応しましょう

 企業からのオファーを検討した結果、お断りすることは失礼ではありません。企業側から学生にオファーできる件数は限られており、厳選してオファーを送ってもらっています。メッセージで返信する際は、オファーを頂いたことに対するお礼の気持ちと、辞退の意思を端的に伝えると良いでしょう。

オファーの承認の返事をしても、返ってこない場合があります

 企業の担当者は、多くの業務を担っていることもあり何らかの事情でメッセージを確認できていない可能性もあります。 オファー承認後に返信がない、やりとりの最中に返事が途絶えてしまった場合など、メールなど別の連絡方法を指定されていないかなど、再度受信している内容をよく確認した上で、こちらから改めてメッセージを送ってみましょう。メッセージでは返事を催促するのではなく、是非次のステップに進みたいという熱意を伝えることで、失礼のない文章になるでしょう。